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メーカー別の製品開発の傾向
◆2010年後半からの「電子辞書」業界傾向(中国語以外含め全般的なこと)
コンテンツ数や機能性を競っていた時代は終わりメーカー間・製品間での均質化が進んでいる。全体的な価格は、年々、下降傾向。最近では、メーカー各社からカラーバリエーションを揃えた汎用機を低価格で出す傾向が出ていた。
以前は、学生向けが価格を抑えて実売3万円程度に対して、一般向け(ビジネスマン向けおよび家庭生活型)が高付加価値製品で割高だったが、汎用機の価格下落によって、今年は学生向けと一般汎用機の価格が逆転する傾向がある。
2010年新たに投入された新ラインナップにおいて、学生向けが以前から変わらず実売3万円程度に対して、最上位クラスの一般向け汎用機が実売2万円台といったところ。
以前は、旧型や多コンテンツ・高機能な学生向け電子辞書を一般向けや2台目として利用することも検討の余地があったが、2010年からは、当てはまらないようだ。新発売の汎用機のほうが高性能で安価なことが多い。
◆2010年後半からの「中国語学習向け」電子辞書の傾向
相変わらず、セイコーインスツルとシャープは、中国語学習向けの電子辞書に、力を入れていない。注目は、カシオとキヤノン。
キヤノンは、2009年発売の中国語学習モデル「wordtank V923」「wordtank V823」に続き、2010年、キヤノン電子辞書の戦略モデル「S500」シリーズの中国語学習タイプ「wordtank S503」を投入。電子辞書マーケットにおいて、中国語学習向けに強いメーカーとしてのポジションを強めている。
電子辞書のシェアNo.1のカシオは、2010年春モデル「XD-A7300」に続き、2011年春モデルにも、非常に中国語コンテンツを充実させた専用機「XD-B7300」を投入。中国語学習向け電子辞書対策も万全。
◆カシオ
「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない。
2010年は、「XD-A10000」「XD-A8500」「XD-A4800」など新シリーズ「XD-A」世代を投入して、電子辞書のラインナップを一新。2010年後半にも、同じく「XD-A」世代の「XD-A6200」「XD-A6600」「XD-A8600」を追加。それぞれカラーバリエーションを用意して価格を抑えた汎用機。最上位機種クラスが2万円台となった。2010年後半にかけてのカシオ電子辞書の新製品によって、メーカー各社が追随して、電子辞書全体の価格帯がググっと下がった。
新モデルはすべて、耐久性(Blanview液晶・タフパワー設計・堅牢ボディTAFCOT)に優れ、カラー液晶を搭載した。製品ラインナップを絞ってきたのが今年の特徴。
「XD-A」世代の機種は機能性は同じ。メモを貼れる「カラー付箋」や画面に直接書き込む「カラーノート」、文字をマーキングできる「カラーマーカー」といった新機能も同じく搭載。去年までの世代のウリであった、ツインタッチパネル、音声対応、コンテンツの追加、はもちろん対応している。
新ラインナップの中で、中国語学習向け電子辞書として「XD-B7300」を投入。他社メーカーを含めたすべての中国語向け電子辞書の中で、中国語コンテンツの充実度は抜群。
カシオからは、毎年多数の電子辞書が発売されるために、新ランナップの中で埋もれがちだが、カシオは、中国語学習向け電子辞書の分野にも力を入れている。
◆シャープ
カシオに追いつけ追い越せ、電子辞書マーケットでカシオと2強に。店頭で電子辞書を見比べると、カシオとシャープのディスプレイの鮮明度は抜群。2強は製品の完成度が高い。
ただ、中国語学習向けの電子辞書には、あまり力を入れていない。
カラー液晶搭載の「ブレーン」ブランド電子辞書「ではなく」、旧シリーズ「パピルス」ブランドの電子辞書「PW-LT220」が、現状、唯一の中国語学習タイプ(追加カード利用を除く)。
中国語初学者向けの必要最低限のコンテンツは搭載しているが、旧機種でもあり、リーズナブルな中国語学習向け電子辞書も他社メーカーから発売されている現在では、唯一の電子辞書も存在価値が低い。
◆SII(セイコーインスツル)
「英語」に力を入れているセイコーインスツル。2010年も、さらに、英語に特化した電子辞書メーカーぶりを発揮している。
中国語学習向けの電子辞書には、あまり力を入れていない。
近年のセイコーインスツル電子辞書には中国語専用モデルは発売されておらず、中国語学習者向けには、外国語(英語)学習モデル「SR-E6000」と中国語コンテンツの追加カード(DC-A07CN)がセットになった、セット製品をカタログでも推奨している。
◆キヤノン
2010年後半、韓国語・中国語など英語以外のコンテンツをメインとしたモデルが発売。一方、英語重視や一般向け(ビジネス系や生活重視系)の電子辞書の発売はなかった。
2010年前半に発売したカラー液晶コンパクトサイズの電子辞書「S501」「S502」が、カシオ電子辞書の中で、最も力を入れているモデル。電卓のような縦長の筐体や専門機のように絞りに絞ったコンテンツなど、他社メーカーと一線を画するユニークな電子辞書。
搭載コンテンツを絞ったことにより実現したのだろう。「S501」「S502」は実売1万円を切る価格。価格面でも他社メーカーと一線を画する。
中国語学習向けの電子辞書には、電子辞書メーカーの中で、一番、力を入れている。
2009年発売の中国語学習モデル「wordtank V923」「wordtank V823」に続き、2010年、キヤノン電子辞書の戦略モデル「S500」シリーズの中国語学習タイプ「wordtank S503」を投入。電子辞書マーケットにおいて、中国語学習向けに強いメーカーとしてのポジションを強めている。
「wordtank V923」「wordtank V823」「wordtank S503」どれも、中国語学習者におすすめできるモデル。
対抗となるのはカシオ電子辞書くらいだが、カシオ中国語学習向け辞書にくらべて全体的にコストパフォーマンスが高いのが特徴。
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