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メーカー別の製品開発の傾向
◆カシオ
「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない。
2010年は、「XD-A10000」「XD-A8500」「XD-A4800」など新シリーズ「XD-A」世代を投入して、電子辞書のラインナップを一新。新モデルはすべて、耐久性(Blanview液晶・タフパワー設計・堅牢ボディTAFCOT)に優れ、カラー液晶を搭載した。製品ラインナップを絞ってきたのが今年の特徴。
「XD-A」世代の機種は機能性は同じ。メモを貼れる「カラー付箋」や画面に直接書き込む「カラーノート」、文字をマーキングできる「カラーマーカー」といった新機能も同じく搭載。去年までの世代のウリであった、ツインタッチパネル、音声対応、コンテンツの追加、はもちろん対応している。
動画対応するシャープ電子辞書やパソコンとの連携をアピールするセイコーインスツル電子辞書と比べると派手さはないが、価格や機能性、コンテンツにおいて、世の中のニーズをきっちりと反映させた新製品を投入している印象を受ける。
去年までは店頭販売員やライター泣かせの製品数だったが、今年は特徴をはっきりさせた「XD-A」世代の7製品(2010.3.25現在)を全面に押し出して、メーカーとして旧製品とは一線を画した展開をしている。
2010年、ハイスペックのフラッグシップ電子辞書(「XD-A10000」)とカラーバリエーションを用意した低価格普及機(「XD-A8500」「XD-A4800」)の2つのラインナップを展開する、近年の価格戦略もそのまま。普及機は、ニーズの多いと言われている、実売30,000円を切る価格で提供。死角がない。
◆シャープ
カシオに追いつけ追い越せ、電子辞書マーケットでカシオと2強に。
昨年度は、シャープのお家芸「液晶」を大々的にアピールしてカラー液晶搭載の新電子辞書ブランド「Brain(ブレーン)」を全面に押し出したプロモーションを展開していた。
2010年は、「Brain(ブレーン)」ブランドで、動画コンテンツ対応(「PW-AC910」「PW-GC610」)やカラー液晶のコンパクトサイズ(「PW-AC110」)の電子辞書を投入。
「Brain(ブレーン)」ブランドのキャッチコピーは「カラー電子辞書は、シャープ」。カラー液晶のもつ機能性をベースに先進性を備えたブランドイメージをアピールしている。
ワンセグ対応ケータイが普及した影響だろうかが、ワンセグ視聴可能なモデルは、2010年は、力を入れていない。
ワンセグ電子辞書のときもそうだったが、シャープの電子辞書はデザインが、カッコイイ。2010年モデルも総じて、筐体デザインがカッコイイ。特に動画コンテンツ対応の2モデル(「PW-AC910」「PW-GC610」)の筐体フォルムとカラーバリエーションは抜群。
デジタルツールの好きな、新しいもの好き・カッコイイもの好きのビジネスマンのハートをつかむのに十分なデザイン性。
画面に書き込めるマーカーの機能だけを取り上げているわけではないが、2010年、他社の電子辞書と比較して、学習者向け(大学生・高校生・ビジネスマンの学習ニーズ)の機能やコンテンツが、さらに強化されている印象だ。
◆SII(セイコーインスツル)
USB接続をしてパコソンからの入力と検索結果のコピー&ペーストなど、パソコンとの連携を可能にする「PASORAMA(パソラマ)」と呼ぶユニークな機能を搭載した製品を続々投入。「PASORAMA(パソラマ)」は、セイコースンスツル電子辞書を特徴づける機能となった。
一方、カシオやシャープ、キヤノンのようにカラー液晶のモデルは投入せず。セイコーインスツルの電子辞書の画面表示はモノクロのまま。
2010年は、「PASORAMA」搭載でデジタル名刺データを収録するコンパクトサイズの電子辞書(「SR-G7001」「SR-G6001」)にも力を入れている。パソコンとの連携や名刺データを活用する提案型機能など、ビジネスマンを意識した機能が目につく。
電子辞書マーケットでシェアNo.1のカシオがやや弱い、「コンパクトサイズ」「ビジネスニーズ」のマーケットを攻める製品戦略だろう。
英語コンテンツが充実したモデルは、セイコースンスツル電子辞書のお家芸だが、英語コンテンツは他社電子辞書も同等レベルに充実しており、そこでの差別化は難しくなった。
おそらくそうした背景から、2010年は、「PASORAMA」を目玉機能として、ビジネスマンをターゲットとした製品展開にシフトしつつあるのだろう。結果的に、セイコーインスツル電子辞書の特徴にておいて「英語」のアピール度がやや弱まっている。
相対的に「英語」コンテンツの充実度は下がっている印象だが、社会人・大学生向けの学習モデル(「SR-S9002」「SR-S9001」)は、TOEIC・TOEFL・英検対策や各種資格試験用の実践的な学習コンテンツが増えて、コンテンツの質が上がっている。
◆キヤノン
電子辞書においては、過去3年あまり動きのなかったキヤノンだが、2010年は、製品数を絞りつつも、新製品を投入して巻き返しをはかる。
学習・受験モデルとして「V330」を投入。ターゲットを完全に受験生や大学生に絞った英語コンテンツを充実させたモデル。英語音声を収録した英語読み物や英語単語集が充実しており英語学習機のようなユニークな電子辞書。
また、「S500」「S501」「S502」のカラー液晶コンパクトサイズの電子辞書群を投入。「S500」「S501」「S502」は、電卓のような縦長の筐体や専門機のように絞りに絞ったコンテンツなど、他社メーカーと一線を画するユニークな電子辞書。
搭載コンテンツを絞ったことにより実現したのだろう。「S501」「S502」は実売1万円を切る価格。価格面でも他社メーカーと一線を画する。
独自の方向性でラインナップを展開しはじめた。
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