電子辞書《英語重視タイプ》・収録辞書の基礎知識
(2004.2.23公開-2006.9.12更新)

収録されている辞書コンテンツの特徴や所属する辞書グループが分かると電子辞書の選び方も変わります。ここでは、電子辞書によく収録されている辞書コンテンツの基礎知識をまとめました。

英英辞書の基礎知識

英英辞書を選ぶ場合に、まず知っておきたいことは以下の2点。【1】英英辞書には、英語を母国語とする読者を対象とした辞書と、英語を学習する外国人読者を対象とする辞書がある。【2】説明の中に織り込まれている用例は、生の英語から引用しているものと学習者向けに作られたものとがある。
有名な英英辞書を以下に。(英語の見出し語から英語の説明を引く狭義の「英英辞書」のみを列挙しています)

>> ロングマン現代アメリカ英語辞典-Longman Advanced Learner's Dictionary of Current English
:英語を学習する外国人読者を対象とした代表的な英英辞書。英語を母国語とする読者向けの英英辞書では、「apple」と引くと(当然知っているものとして)リンゴそのものの説明よりも慣用表現や用例や成句などの情報が充実しているものだが、外国人学習者向けの辞書では、たとえ「apple」でも言葉の定義を中心に解説することになる。
多くの電子辞書で採用されている。

>> コンサイス・オックスフォード英英辞典-Concise Oxford Dictionary
:英語を母国語とする読者を対象とした代表的な英英辞書。世界的に有名な英語辞書「Oxford English Dictionary」から派生した英語辞典。
セイコーの電子辞書で採用されているものが多い。

>> コウビルド英英辞典-Collins COBUILD English Dictionary
:英語を学習する外国人読者を対象とした代表的な英英辞書のひとつ。ロングマン現代アメリカ英語辞典のように定義調ではなく、独特の書式によるフルセンテンスの解説が特長。用例にコーパスからの生の英語を多用していることでも有名。


英和辞書の基礎知識

英和辞書を選ぶ場合に、まず知っておきたいことは、「学習辞典」と「中辞典(実用辞典など含む)」の種別があるということ。
一般的には、辞書はそれを使う人の学習レベルに合わせたものが、最も効果的と考えられている。だいたいはその辞書の書名でどのタイプの辞書であるかが分かるものだが、その種別があることを確認しておきたい。

「学習辞典」と「中辞典」の違いは、大ざっぱに言うと、見出し語の解説の詳細さと語彙数の違い。「学習辞典」は、見出し語の数はしぼっているが見出し語ひとつひとつの説明は比較的詳しい。「中辞典」は、その逆。
ここで注意しておきたいのが、「学習辞典」がカバーする読者層について。 「学習辞典」という呼び方から中学生・高校生・大学生などの学生専用の辞書であるかのように思いがちだが、 その実、学生から社会人まで英語学習者には非常に有効な辞書である。 「学習辞典」と「中辞典」のカバーする読者層の認識は、【学生が「学習辞典」・学生以外が「中辞典」】ではなくて、【翻訳家以外が「学習辞典」・翻訳家が「中辞典」】くらいに考えてもいいかもしれない。

英語系辞書の「豆」知識

電子辞書の選択の際に、直接は関係ないが、知っておくとタメになる英語系辞書の豆知識をまとめました。

>> オックスフォード英語辞典-Oxford English Dictionary(O.E.D)
:イギリスでの分冊による本格的な大辞書。19世紀半ばに計画が発表されて、19世紀後半に分冊第1巻が発行され、20世紀はじめに完結。
辞書の特長は、見出し語の言葉の意味を、具体的な引用を持ち出して、最も古いところからはじまり、意味の移り変わりを解説するところにある。
O.E.Dをひけば各単語の年齢がわかる。
コンサイス・オックスフォード英英辞典はO.E.Dから派生した辞書。

>> ウェブスター-Noah Webster(1758-1843)
:アメリカの辞書の祖。"An American Dictonary of the English Language"を出版。「ウェブスター」はアメリカ辞書の代名詞的な意味を持つ。
アメリカの辞書は、語義だけでなく、百科事典的意味合いを含むものが多いが、それはウェブスターの辞書編集方針に影響をうけている。

>> ブリタニカ百科事典-Encyclopaedia Britannica
:世界的に有名な英語の百科事典。初版1789年発行。

>> ジョンソン-Samuel Johnson (1709-1784)
:はじめての本格的な英語辞書"A Dictionary of English Language"を発行。2巻本の"A Dictionary of English Language"は、辞書としての形式を作り上げた最初のものとして英語辞書史に残る。

英語系辞書を知るための用語解説

英語系辞書に関するカタログなどを読むときなどに役に立つ用語を解説します。

◆コーパス :言語データベース。特定用途に作られた文章の作例ではなく、小説・新聞記事・広告コピー・会話文など、実際にコミュニケーションするために使われた文章の収集したもの。
辞書編集や言語学において利用され、その利用用途によって収集する言語テキストの種類を絞る場合も多い。

◆シソーラス :アルファベットや五十音などの文字によって分類した辞書ではなく、意味によって言葉を分類した辞書。狭義の意味では類語辞典と同じ。
同意語、反対語、関連語などが体系的にまとめられているもの。