電子辞書《中国語学習タイプ》・メーカー情報
(2013.01.10)

【参考】過去(2011年)のメーカー情報はこちら

電子辞書を比較する上での基本的な知識とメーカーごとの「中国語」学習向け製品の発売の傾向をまとめました。たくさんあってなかなか区別しにくい個々の電子辞書を比較する上での参考にしてください。


メーカー別の製品開発の傾向

2012年からの「電子辞書」業界傾向(中国語以外含め全般的なこと)

2012年初頭、スマートフォンやタブレットPC、ブックリーダー等の普及で、電子辞書が電子辞書アプリに置き換わり、電子辞書マーケットが大幅に縮小すると予想された。
しかし、現状、そうはなっていない。
電子辞書の専用機としての使い勝手の良さが見直されている。

大学生・社会人から高校生、そして中学生へと電子辞書の販売ターゲットが若年齢化していた。小学生向け電子辞書まで発売されたが、中学生、小学生向け電子辞書は、売れ行きが今ひとつのようだ。
最近は、シニアや主婦を狙ったモデルが増えている。家庭の医学、薬、俳句、百人一首、家事、料理などをテーマとしたコンテンツを搭載した「生活・教養」「家庭・実用」タイプの電子辞書だ。
電子辞書の画面もカラーが主流となり、写真や図、音声などのデータを使ったコンテンツ搭載のモデルも人気となっている。

最近、電子辞書のデザインや価格にばらつきが出てきている。以前は、電子辞書のデザインや価格は似たり寄ったりで、搭載コンテンツ数や搭載コンテンツのユニークさを競っていた。
全体的に価格は年々下がっている。ビジネスマン向け・高校生向け、ともに、普及機は2万円台が出現。今も店頭に並ぶ2011年発売モデルでは2万円を切るモデルも出ている。
機能やコンテンツを絞ったタイプやコンパクトタイプでは、1万円前後がボリュームゾーン。1万円を切るモデルも出ている。
メーカー各社は、同じタイプのモデルでも、実売価格が1万円、2万円、3万円など、価格がばらけるように価格を意識した製品戦略をしているようだ。

カシオとシャープは、2012年春モデル以降~年末まで、マイナーチェンジだけで特に新しい動きはない。 キヤノンは、2012年春モデル以降~年末まで、とうとうマイナーチェンジのモデルすら発売がなかった。 セイコーインスツルは、年末になって、無線LAN機能とタッチパネル搭載の戦略製品を投入。一番の注目。


2012年後半からの「中国語タイプ」電子辞書の傾向

相変わらず、電子辞書メーカーの中でセイコーインスツルだけは、「中国語タイプ」の電子辞書に力を入れていない。中国語タイプとしての発売はない。 中国語タイプの電子辞書を探すとき、現状、対象となるメーカーはカシオ・シャープ・キヤノンの3社の絞られる。
カシオ・シャープ・キヤノンの3社は、中国ビジネスの盛り上がりとともに中国語タイプの電子辞書を投入。 英語タイプやビジネスタイプ、生活・教養タイプ、高校生向けタイプなどのように複数モデルを用意するところは少ないが中国語学習者や中国ビジネスを狙った電子辞書をいずれも最新筐体で発売している。
中国語タイプの電子辞書において、2011年は、各メーカーが音声コンテンツの充実度を競っていた。2012年は、音声による学習コンテンツの充実度で差が出た。純粋に辞書引きとしての電子辞書と、辞書引きに加えて音声を含む学習コンテンツを充実させて学習ツールとしても使える電子辞書との差だ。
また、2012年は、各メーカーの価格戦略の違いが色濃く出た。主力の中国語タイプ電子辞書が3万円を切る実売価格で販売された。1万円以下の中国語タイプ電子辞書も人気を集めた。


カシオ

「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない。
No.1メーカーだけに、オーソドックスで最高水準の機能性とコンテンツのモデルを、英語学習者・ビジネスマン・高校生・中学生・シニアなどそれぞれのターゲットに提供している。価格も他社競合モデルの中で最低水準。低価格化においても、電子辞書メーカーをリードしている。

カシオは、毎年1月~2月に、その年のラインナップを一新する。2012年は、製品番号「XD-D」ではじまる新シリーズを投入。「XD-D」シリーズをメインとして初心者向け「XD-SC」シリーズ、コンパクト「XD-C」シリーズがカタログに並ぶ。

新ラインナップの中で、中国語タイプ電子辞書として「XD-D7300」を投入。2011年「XD-B7300」の後継機的位置づけのモデルだ。 他社メーカーを含めたすべての中国語向け電子辞書の中で、中国語コンテンツ・音声コンテンツの充実度はトップレベル。
しかも、2013年1月現在、実売価格3万円を切るまでになっている。トップレベルの機能性・コンテンツ充実度でいてリーズナブル。オーソドックスな中国語タイプ電子辞書の中で、まず間違いのない1台といえる。

2011年発売モデル「XD-B7300」、2010年「XD-A7300」もすでに機能性や搭載コンテンツは及第レベルに達していた。中国語タイプ電子辞書を探すときに、価格によっては、「XD-B7300」「XD-A7300」を候補に入れてもいいかもしれない。


シャープ

カシオに追いつけ追い越せ、電子辞書マーケットでカシオと2強に。2012年あたりから家電量販店店頭でもシャープ電子辞書の陳列スペースが広がっている。

シャープも、毎年1月~2月に、その年のラインナップを一新する。2012年の主力は、製品番号「PW-A」ではじまるビジネス・生活教養タイプ、「PW-G」ではじまる学生向けタイプ、「PW-AC」「PW-GC」ではじまるコンパクトタイプだ。
特にコンパクトタイプは、機能とコンテンツを絞り2011年発売モデルは1万円前後の実売価格。2012年発売モデルでも1万5千円を切る。デザインもいい。カシオとマーケットがぶつからない価格帯でシェアを広げている。

2011年後半、コンパクトタイプ「PW-AC」シリーズで中国語タイプ電子辞書「PW-AC30」を投入。2013年1月現在、実売価格1万円を切るまでになっている。音声を含む必要十分な中国語コンテンツを搭載していながら、1万円以下の実売価格は魅力的だ。


SII(セイコーインスツル)

2011年、2012年、新製品は後継機のみ。競合他社が搭載コンテンツのバランスを考えた多コンテンツ型の電子辞書を続々と投入する中で、あえてバランスを考えずに英語コンテンツに偏った製品ラインナップを続けていた。
上級英語学習者向けやビジネスの現場で英語が必要なプロフェッショナル向けの電子辞書はセイコーインスツルの独壇場だ。この方針は、今でも変わらず、2012年12月時点で、全メーカーの電子辞書中、もっとも英語コンテンツの充実したモデルは、2009年発売の「SR-G10001」。現在でも、セイコーインスツルの最上位モデルだ。

これといった動きのなかったセイコーインスツルだが、2012年の終わり、斬新な2013年モデルのニュースリリースが出た。
製品番号「DF-X」ではじまる新シリーズ。タッチ操作のカラー電子辞書「DAYFILER(デイファイラー)」のブランドを持つ新モデル。無線LAN機能を内蔵するインターネット電子辞書だ。タッチして反応するだけのタッチパネルではなく、フリックスクロールやピンチによる拡大・縮小も可能なカラータッチパネル搭載。Wi-FiモデルのタブレットPCやスマートフォン、電子書籍リーダーにも似た機能性・操作性だ。 PC検索モード「PASORAMA」進化形「PASORAMA+」搭載。パソコンとUSB接続で「DAYFILER」の持つデータをパソコンから活用できる。無線LANでネット接続して、ブラウザを使った検索も可能。2013年公開予定の専用サイトから追加辞書をダウンロード購入できる。EPUB形式の電子書籍も閲覧可能。
2013年のセイコーインスツル電子辞書は目が離せない。

中国語タイプに限っては、何も動きはない。新たに中国語タイプ電子辞書は発売していない。中国語タイプ電子辞書はないが、電子辞書に中国語辞書データを追加する追加コンテンツカードは販売している。どうしてもセイコーインスツルの電子辞書で中国語の辞書引きをしたいのであれば、追加コンテンツカードを利用する方法となる。


キヤノン

以前より中国語タイプ電子辞書に力を入れている。2011年後半から2012年にかけて、中国語タイプの電子辞書「wordtank Z900」「wordtank Z800」「wordtank A503」を投入。 製品番号「wordtank Z」「wordtank A」ではじまるシリーズは、キヤノンの最新シリーズだ。

「wordtank Z900」「wordtank Z800」は、予定より遅れて2012年発売となった。カシオ「XD-D7300」と競合となりうる電子辞書だ。「XD-D7300」よりも先行して販売するはずが後手に回った。 「wordtank A503」はコンパクトタイプで2013年1月現在、1万円を切る実売価格。音声を含むコンテンツも必要十分搭載。音声の学習系コンテンツを搭載しているところが中国語学習者には嬉しい。シャープ「PW-AC30」と競合となりうる電子辞書だ。