電子辞書《英語重視タイプ》・メーカー情報
(2016.2.26現在)

【参考】過去(2015年)のメーカー情報はこちら

電子辞書を比較する上での基本的な知識とメーカーごとの製品の発売の傾向をまとめました。たくさんあってなかなか区別しにくい個々の電子辞書を比較する上での参考にしてください。


2016年の業界と製品のトレンド


2016年、カシオとシャープの2強のみとなった。セイコーとキヤノンの電子辞書は店頭から消えた
長い間、電子辞書は、カシオ、シャープ、セイコーインスツル、キヤノンのメーカー4社による寡占市場だった。
ところが、2014年10月、セイコーインスツル(SII)は、電子辞書ビジネスからの撤退を発表。キヤノンは、ここ数年、家電量販店の電子辞書売場に並べられるような新製品を発表していない。
セイコーインスツルとキヤノンが競争から脱落して、カシオとシャープが残った格好だ。

2016年、都内の家電量販店は、電子辞書コーナーを縮小するところが増えている。新製品のディスプレイからセイコーインスツルとキヤノンの電子辞書が消えた。
電子辞書の価格が全体的に下がったことから、家電量販店では、以前のように新年度モデルと値下がりした前年度モデルを並列して販売するところは減った。
店頭では、縮小した販売スペースで、お手頃価格となった売れ筋の新製品を集中して販売するスタイルとなっている。

カシオとシャープも新製品の投入数と投入ペースは落ちている
2016年、電子辞書は、カシオとシャープのみとなったが、その両社も新製品の投入数と投入ペースは落ちている。

同一タイプで価格帯ごと複数の機種を販売することは少なくなった。 カシオの2016年春モデルで、同一タイプで複数機種を用意しているのは高校生向けや生活・教養タイプのみ。 シャープにおいては、ここ数年、コンパクトサイズ等を除くと毎年4機種(高校生向け/中学生向け/大学生・ビジネス/生活・教養)しか投入していない。


電子辞書比較[2016年]はこちら

メーカー別の製品開発の傾向


カシオ

「エクスワード」ブランドを展開。電子辞書のシェアNo.1の地位を今なお維持している。製品ラインナップの充実度も他社を圧倒。 電子辞書マーケットにおけるトップメーカーであり、購入にあたって、どの機種も機能面やコンテンツのクオリティは心配する必要はまずないだろう。 「迷ったらカシオ製」と思ってもいいほど、電子辞書はカシオ製を買っておけば間違いはない

No.1メーカーだけに、オーソドックスで最高水準の機能性とコンテンツのモデルを、英語学習者・ビジネスマン・高校生・中学生・シニアなどそれぞれのターゲットに提供している。 価格も他社競合モデルの中で最低水準。低価格化においても、電子辞書メーカーをリードしている

カシオは、毎年1月~2月に、その年のラインナップを一新する。2016年は、製品番号「XD-Y」ではじまる新シリーズを投入。なお、2014年は「XD-K」、2014年は「XD-U」、2013年は「XD-N」、2012年は「XD-D」ではじまる型番。
「XD-Y」ではじまる新シリーズは、 英語学習におけるボキャブラリー、リスニング、スピーキングの学習進捗を確認できる新機能「イングリッシュ・トレーニングジム」搭載と押しやすい新設計のキーボードが特徴。また、スマホやタブレットとの連携サービスにも対応。 2015年モデル同様、キーボード上にあったタッチパネルはなくなり、そのぶんボタンが大きくなっている。手書き入力やソフトキーボードなどタッチパネルへの入力はメイン画面に直接できるようになっている。
2016年春モデル「XD-Y」シリーズは、非常に使いやすい。 昨年の「XD-K」シリーズもよかったが、タッチディスプレイ、キーボード、画面表示などのインターフェースはさらによくなった。キー入力や手書き入力、ディスプレイをタップするなどの操作により、調べたい言葉をストレスなく見つけることができる。

電子辞書2強のもう一方のシャープとの比較優位点では、搭載コンテンツの量と質が挙げられる。 同タイプ・同価格帯の電子辞書を比べると、概ね搭載コンテンツ数は多く、魅力的なコンテンツを搭載している。

近年の傾向としては、同一タイプで価格帯ごと複数の機種を販売することは少なくなったが、 カシオ2016年春モデルでは、高校生向けにスタンダード機のほか入門機や進学校向けを用意。生活・教養タイプとしてスタンダード機のほか入門機を発売した。 高校生と生活・教養向けのターゲットであるシニア層を意識した製品ラインナップを敷いている。


シャープ

電子辞書マーケットでカシオを追う。
これまでの傾向としては、王道を進むカシオに対抗して、シャープは、新機能を搭載した電子辞書を真っ先に投入して逆転を狙う。 これまでも、ワンセグ搭載電子辞書やポケットタイプ電子辞書など電子辞書に新機軸を打ち出して、斬新な電子辞書を発売している。
しかし、近年は、少し事情が違う。カシオがコンテンツよりは機能性を強化してきたのに対して、シャープは機能性よりコンテンツを強化してきた。

2016年春モデルとして、大学生・ビジネス向け「PW-SB3」、生活・教養「PW-SA3」、高校生向け「PW-SH3」、中学生向け「PW-SJ3」を発売した。 2014年春モデルからはじまった、「PW-SB」「PW-SA」「PW-SH」「PW-SJ」それぞれの新バージョンだ。

2016年春モデルは、搭載コンテンツも見た目も、2015年春モデルとあまり変わらない。 筐体は、キーボードを背面に隠し、ディスプレイとタッチペンだけでタブレットのような使い方もできる(従来式と2WAY利用可能)。

2016年春モデルは、筐体(タッチパネルやキーボード)や画面表示などインターフェイスの使いやすさが大きな特徴。 特に、キーボードの「調べる」ボタンより、電子辞書の全コンテンツを横断的に検索する機能は便利。見出し語だけでなく全文検索、例文検索もできる。
複数辞書を横断的に検索する機能は、英語学習で威力を発揮する。 語学学習では、単語や熟語の意味と一緒に実際の使われ方を調べたくなることが多い。単語の意味と用例を一度に検索できる(検索しやすい)機能性は地味だが非常に便利だ。

電子辞書2強のもう一方のカシオとの比較優位点では、この複数辞書の横断検索しやすさを挙げたい。
キーボード上の「調べる」ボタンが、Windowsパソコンの「スタート」ボタンのような役割をしており、 電子辞書をたまに利用する人もシニアも「(まずはじめに)何をすればいいか迷わない」点も使い勝手の向上に一役買っている。


SII(セイコーインスツル)

2014年10月7日、セイコーインスツル(SII)は、電子辞書ビジネスからの撤退を発表した
店頭で触れてみれば分かるが、セイコーインスツルの電子辞書は非常に使いやすかった。それだけに、事業撤退は残念だ。
これからセイコーインスツル製品を購入するなら、今後サポートは変わらないまでも手厚くなることはないことを承知の上で。


キヤノン

2014年、2015年、2016年2月まで、キヤノン電子辞書は、新製品のリリースがない。キヤノン電子辞書のサイトを見ると、力を入れていないのが分かる。2016年も期待できない。



電子辞書比較[2016年]はこちら